モリオカ三行日記(ブログ)

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zoom RSS 世界の最大秘密

<<   作成日時 : 2006/02/21 00:15   >>

驚いた ブログ気持玉 6 / トラックバック 0 / コメント 11

 研究がらみの出張日記に、ご飯や友人のことばかりしか書かないので、「ホンマに研究してるのかこら?」とおしかりを受けることがあるのだが、しかし現在進行形の本業のことは書きにくいのですよ。過去形のことならばまた別ですが。ただ、たまには文献こぼれ話でも。

 某私大図書館で『新青年』をめくっておったのですが、目次に「世界の最大秘密」との見出しが!これを見てひらくなと言う方がおかしい。期待に満ちて見てみると…(以下小見出しを中心に引用)

 「将に開かれんとする世界の最大秘密の扉」
…英国バーミンガム大学のアーネスト・ラザフオード教授である。教授は、原子(ルビ:アトム、以下同じ)を分解する事に成功した。で、この事は、他の学者の最近の発見と相俟つて、或る「力(ルビ:フオース)」を解放するに至つた。そして人間を殆ど神様と同様の物にするか、それとも人類文明なるものを粉微塵に破壊して終ふかも、実にこの「力(ルビ:フオース)」の掌中に握られてゐるのである。…

「日本に居て米国の市街を灰燼に帰せしめる力」
 …若し右の方法が成功した場合には、恰も今日無電が大洋を越える事が出来るやうに、吾々は原子力(ルビ:アトムりよく)を放つて、この大地を透過させ、地球の反対の面、例へば日本から云へば亜米利加の一市街を灰燼に帰せしめるやうな事が出来やう。…

「原子爆弾(ルビ:アトムばくだん)の威力は堂々たる大艦隊も木端微塵」
…若しこの原子力(ルビ:アトムりよく)が、誤れる掌中に入つたならば何うか?/例へば前独逸皇帝の如き人が、この力の秘密を得たならば、其結果は何うであらうか?恐く彼れは、ポツダムの安楽椅子に腰を下して、軽く机上のボタンを押し、それに依つて容易に文明を灰燼に帰せしめることが出来やう…が、併しこれが有益に使用された暁には、人類を塗炭の苦しみに陥るゝ彼の戦争なるものは、永久に不可能のものとなるに相違ない。何となればこの原子爆弾(ルビ:アトムばくだん)の威力に対しては、如何なる強国と雖も対抗できぬからである。…

「戦争と貧乏は無くなり気候は随意に変化さる」
 原子力(ルビ:アトムりよく)利用の専門家は、「原子的家庭(ルビ:アトミツクホーム)」と称してゐるが、そこでは鉄瓶の湯も、凡て原子力(ルビ:アトムりよく)で沸かされる。主人や奥様の着物も亦、その力を借りて洗濯する。だから若しさうしたいと思つたら、毎日下着を代へる事が出来る…

「変らないものは恋愛だけ疾病は駆逐され生命は延びる」
 かくの如き怪力(ルビ:くわいりよく)を有する新しい「力(ルビ:フォース)」と雖も、何等手を出し得ぬ領分が一つある。そは男女の恋愛の王国である。…

              (『新青年』1-7 大正9・7より部分抜粋、ルビ等適宜省略)


 当初は「どんなトンデモだ」と笑いを期待していたのだが、これが結構予言的でちょっとぞっとした。核による軍事的均衡論なんてのもそうだが、亜米利加といいポツダムといい、固有名もまた不気味である。一番最後だけはまあお笑いであるが。うーん、モダニストが「アトムりよく恋愛」みたいなやつ書いてないかな。「相対性理論的恋愛小説」なら有るのですけどね。

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コメント(11件)

内 容 ニックネーム/日時
まことに貴重なネタ、謝謝です。「新青年」はプレ原爆文学(なんと適当なネーミング)をほかにも掲載しています。たとえば、1944年7月号掲載、立川賢「桑港けしとぶ」がそうですね。「桑港」はサンフランシスコ。原爆開発を試みていたのは台北帝大、実験の成功(失敗)で、世界最初の核爆発は台北(苦笑
kawaguchi
2006/02/21 00:37
蛇足ついで。1944年の「新青年」では、守友恒「無限爆弾」(9月号)、海野十三「諜報中継局」(12月号)が原爆を扱ってます。海野は昭和2年3月号掲載「遺言放送」で、原爆開発をすでに話題にしています。まさに「新青年」恐るべしあります。ただし「アトムりよく恋愛」はあるかどうか存じません(笑
kawaguchi
2006/02/21 09:40
kawaguchiさんなら既にご存じのことかと思いながらおずおずと。「新青年」はやはり面白いですね。原爆とシベリア出兵ドキュメンタリーと怪談とが乱れ撃ちのように展開していく様は、今でいうとどんな雑誌みたいだと言えばいいのか。「新青年」から見る〈戦後〉、というテーマでも作れそうな気がします。…といいながら、T9に掲載された「チェルシー競技場で行われた蹴球試合」の写真をそっとコピーしていた私は救いようのないサカDQN。多分、スコットランドかどこかの代表試合なのですが、当時主流であった2バック戦術がキレイにわかる俯瞰図(ええいうるさい
morioka
2006/02/21 13:48
今で言えばVIPブログではw。
(自己破壊ドキュメントと特定アジア攻撃と怪談とぬこ萌え。)

「チェルシー競技場で行われた蹴球試合」ワロス。
「イングランドとかアメリカで行われた拳闘試合」の記事があったら
ぜひうpを。
yanase
2006/02/22 00:02
その下に、東京で行われた高校蹴球部の決勝戦とかもありましてこれがまた一部しか写ってないんですけど「オマイ超オフサイド!!」みたいな奴が居てwwこうなったら拳闘も探してみましょうか?ところで、拳闘はいつ頃日本輸入でしたっけ?
morioka
2006/02/22 01:40
「激しくキボンヌ」というところです。
拳闘は輸入百年以上前。戦前期だとピストン堀口とかがいた時代ですね。「堀口対槍の笹崎」。日仏対抗戦なんてのもありました。
yanase
2006/02/22 16:10
moriokaさん、「新青年」から見る〈戦後〉、いけますよ、絶対(たぶん)。
ぜひ、「原爆文学研究」に一本原稿ください。原爆とシベリア出兵ドキュメンタリーと怪談のみだれうち、おねがいしますね。かなりマジな希望です。

サッカーネタと拳闘ネタはまたべつのところに(笑
kawaguchi
2006/02/22 21:28
サッカーネタと拳闘ネタと演芸ネタ(居酒屋ネタでも可)を
網羅する同人誌を立ち上げませう。野球ネタ書いた
某筑波の人とか入れてw。
不肖私、拳闘と落語に加え中崎タツヤ論でも寄稿しますwww。
yanase
2006/02/22 23:55
>kawaguchiさん
私、「原稿をくれ」と言われるような立場ではなく、まだまだ修行中の身ですので、機会を見つけて是非投稿してみたいと思います(の前に、いくつものハードルを越えねばなりませんが)。
>yanaseさん
それは面白そう!!…と申しますか、一番網羅的にご存じでお知り合いも広そうなyanaseさんがwebマガジン立ち上げれば寄稿して下さる方凄いことになるのでは??
morioka
2006/02/23 00:50
主宰やるだけの度量ないのでそちらの諸先輩方の誰かを
お借りして(「だまくらかす」とも言う)。といいますかスレタイとのあまりの落差ワロス(居酒屋と「新青年」てw)。
yanase
2006/02/23 02:58
レアルとアーセナルついに実現したんですね。
見逃してしまいました(残念!)
第二戦はハイバリーでしょうから3・8に期待。
http://cnn.co.jp/sports/CNN200602220009.html
yanase
2006/02/23 15:44

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